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ファイバー束の分類


 PDF |群の作用主G束|主G束の分類|
 
 以前ファイバー束を定義したときには、焦点となっていたのは局所自明化写像というもので、これはつまりファイバー束というものが局所的に見れば、ファイバーの直積になっているということである。
 これにより全空間はそういったファイバーの直積の張り合わせと考えられる。だが、その張り合わせ方にまでは何も言及しなかった。

 例えば円筒(アニュラス)→円周、メビウスの帯→円周への射影はどちらも[0,1]をファイバーとするファイバー束である。ただ、アニュラスとメビウスでは反ひねりの構造的な違いがある。これを勘案したのが構造群なるものである。

 最終的な目的は位相群Gを構造群に持つファイバー束、主Gファイバー束を構成することにある。そして引き戻し対応でCW複体上の主Gファイバー束の同型類に一対一対応を持つことである。これがいわゆるファイバー束の分類定理である。これはBrownの表現定理の一種でもある。
 主G束(普遍束)の構成法は様々で、多くの数学者が考えたようである。Milnorは空間の接合に着目し、接合を取るごとに空間の連結性が増していくことから、Gのn重接合によって主G束を構成した。それを改良したのがMilgramの構成である。これは、位相群のバー構成に相当する。Milnorの構成よりも、直積を保つ点などよい性質を持っている。実際にファイバー束であることを示すには、Dold-Thomの手法を用いる。これは一般的には群状モノイドに対して、弱ファイブレーションを構成する方法なのだが、位相群だとファイバー束になることまで言えるらしい。

 主G束の分類定理に関しては玉木の「ファイバー束とホモトピー」を参照にすると良い。あるいは【St99】もよい。また、【西田85】には弱ファイブレーションの分類についても書いてある。